ボーダレスネーム 全2巻(谷中分室)【漫画あらすじ紹介とネタバレビュー】

ボーダレスネーム02職業・ビジネス

大人が夢を追いかけてはダメですか?かつて目指していた漫画への情熱が消えないやり手アラサーOLの挫折と挑戦を描くワーキングストーリー

luck’o
luck’o

こんにちはLuck’oです

このコーナーは現蔵書2500冊以上、延べ通読冊数6000冊以上のLuck’oが超有名作品から知る人ぞ知るニッチな作品まで出し惜しみなくレビューします

ぜひ気になった作品はチェックしてみて下さい

皆さんの漫画ライフを広げる一助になれば幸いです

※ご注意
ネタバレボタンはネタバレを含みます
ご自身の判断でご利用いただくようお願いします

皆さんのオススメも随時募集中です
問い合わせフォームから未知の良作を教えて下さいね

作品情報

【タイトル】
 ボーダレスネーム 
【作者】
谷中分室
作者のTwitter
【掲載誌】
 少年ジャンプ+ 
【ジャンル】
ビジネス、仕事
【巻数】
全2巻

オススメポイント

  • 子供の頃の夢を忘れられない働く大人の為のストーリー
  • 仕事と夢を追いかけたい人必見(落ち込むけど)
  • 諦めない主人公が社会で頑張る勇気をくれます

ストーリー紹介

「上手くやる」

30オーバーになった片山津亜生はそれだけをポリシーに生きていた。

何を求められているのかをわかり、自分の限界を十分に理解する。そうすることで自分の世界は限りなく潤滑に回っていた。そう、あの仕事を引き受けるまでは。

人気少年誌・少年ステップの50周年広告案件で編集の石川から受けたオーダーは「見ている人に夢を与えられるもの」、これは亜生が一番苦手なオーダーだったがいつも通り「上手く」仕上げたプロットに対し、上司の七尾は石川のオーダーに応えているか聞いてきた

まるで逃げた自分の心を見透かされているように・・・

その夜、馴染みの飲み屋で偶然石川と会うと話題は当然のように少年ステップへと向かってしまう

彼の雑誌への情熱と愛情を感じ取った亜生は会社に戻ってもう一度企画と向き合い本気で心の底から絞り出した企画でプレゼンに臨み手応えを感じると徹夜の疲労も一瞬で吹き飛んでしまった

そんな達成感に浸る亜生に石川がこっそりと耳打ちをしてある申し出をしてきた

「漫画を描きませんか?」

それはかつて亜生が夢見て家族の反対に逢い挫折した道の続きを示すものであった

逡巡しながらも亜生は踏み出す事がなかった夢への一歩を刻もうとしていた

1巻(2021/8/4)

ボーダレスネーム01

収録

EPISODE.1~5

内容紹介

◆亜生 少年ステップの企画を引き受けるが編集の石川のオーダーに応えられないまま企画を提出する

偶然飲み屋で石川と顔を合わせ彼の情熱に恥じない企画を作ろうと再挑戦する

  ↓

◆石川から漫画を描かないかと提案される

亜生 試しに描いてみるがテーマが見当たらない

  ↓

◆七尾から加賀のトレーナーを命じられる

加賀に仕事を教える中で漫画のテーマを見つけ出す

  ↓

◆亜生 描いた漫画を加賀に見せ彼女の提案でインディーズの漫画サイトに投稿する

批判コメントにヘコむが加賀のアドバイスでポジティブに考えようとする

解説という名のネタバレ

この作品の主人公・亜生は子供の頃は漫画家になりたいと思っていました

しかし母親に頭から否定された事で夢を追う事を諦めてしまいます

そして大人になり色々な経験を重ねて「上手くやる」術を身に着けた亜生に残ったのは、なにかやりきっていない空虚な気持ちでした

そんな時に仕事のクライアントで少年ステップの編集者・石川氏に漫画を描かないかと提案されると再びやりたいことに打ち込む情熱が湧いてきて取り敢えず漫画を描いてみる事にしました

「ボーダレスネーム」はそんな夢への情熱を燻らせたまま大人を過ごしている人に贈りたい作品です

当たり障りなく仕事が出来ると言っても亜生は決して無能な訳ではありません

それどころか上司の七尾には陰ながら期待されている所が見受けられます

しかし彼女の燻った推進剤に火をつけるのは並大抵の事ではありませんでした

そこに飛び込んできたのが少年ステップのキャッチコピーの仕事でした

編集の石川にオーダーされた「見ている人に夢を与えられるもの」というテーマは感情が籠らないとそうそう納得するものが出来ない苦手なテーマでした

それを乗り越えた亜生に与えられたのは新人・加賀のトレーナー役でした

これも彼女にとって苦手な事でしたが、伝え方が上手くないだけで熱意は十分にある加賀に寄り添う事で亜生が大事にしたいテーマを思い出させてくれるきっかけとなりました

そうして沸き上がった情熱は彼女がかつて諦めてしまった「漫画を描く」作業へと集約していきます

自分が伝えたいものを形にする喜びと、批判に晒される怖さの中で亜生は何をつかみ取るのでしょうか?

そんな彼女を付かず離れず見守る上司の七尾の動向にも注目です

彼は常に亜生が背伸びして届かないくらいの課題を投げて来る厄介者ですが、裏を返せばそれだけ彼女に期待を持っているのだと思います

・・もしかして・・・好き?(笑)

一言感想

足踏みしている亜生に七尾の仕事を振る匙加減が絶妙すぎる。こんな厳しく温かい上司なら絶対部下は伸びますよね。あまり亜生に好かれてないのが玉に瑕ですけどね(笑)

2巻(2021/12/3)

ボーダレスネーム02

亜生は自分の原稿をプロに批評してもらう為に加賀に連れられてコミティアに参加する。出張編集部のブースでまたしても石川に出くわすと、漫画を描き始めた事を話して彼に意見を求めると一緒に作品を作ろうと誘われてしまう。仕事と漫画を両立させる為、綿密なスケジュールを組んだ亜生だったがそれは思ったよりも茨の道であった・・

収録

EPISODE.6~LAST EPISODE

内容紹介

◆亜生 コミティアへ原稿を持ち込みし石川にしてもらう

石川から本格的な作品への取り組みを提案され引き受ける

  ↓

◆七尾から広告企画のリーダーを任さられるが、スケジュールの混み合いから若手に仕事を任せ不十分な企画が出来てリーダーを外される

  ↓

◆16歳の新人漫画家・大聖寺ルウの作品を見てショックを受ける

亜生 仕事と漫画の間で自分のやりたい事に迷う

  ↓

◆亜生 過労で倒れる

鞄に入れていた原稿が見つかり七尾に漫画の事を知られてしまう

  ↓

◆姉の朱音に漫画を描いていることがバレる

描くことを諦めかけた時、少年ステップの広告を見て立ち直る

解説という名のネタバレ

この巻で最終巻となります

仕事と夢、やらなければいけない事とやりたい事の間で亜生の心をひたすら浮き沈みを繰り返します

仕事面では七尾に広告企画のリーダーを任されますが、スケジュールが重なってしまい十分に企画に手をつけられないまま若手主導で無理矢理まとめて七尾の失望を買ってしまいます

しかもその仕事は七尾がコツコツ大きくしてきた仕事で、亜生を名指しでリーダーにしたと聞けば落ち込まずにはいられません

漫画を描く資格はないと企画を全力で練り直して何とか及第点をもらう事が出来ました

漫画の面では石川に背中を押される形で漫画賞への作品を取り組む事になるが、またしてもテーマでつまずいてしまいます

その上、新人作家の作品を見てショックを受け少年ステップ受けの良さそうな企画を描いてしまいそれを石川に見透かされてしまいます

当たり障りなく上手く仕事や人づきあいもこなし、お洒落なファッションに身を包んだやり手アラサーOLはどん底に落ちて自分を見つめなおす事になります

見限られ、自分の底を覗かれ、失望され、頭ごなしに否定されても亜生の心の底から漫画を描きたい気持ちが消える事はありませんでした

加賀が言った「やらない理由をいくつ並べてもやりたい1個の気持ちには勝てない」というのが本当の所なんでしょうね

そんな状況だけでも十分折れそうなのに、亜生の心を揺さぶる人たちが次々に登場してきます

かつて仕事を教えてくれた師匠の兼六が言う「仕事楽しいか?」の口癖は熱の足りない自分の心を見抜かれているようでした

16歳の新人漫画家・大聖寺ルウの漫画以外全て捨ててきた覚悟に、仕事と両立という行為が浅はかな考えでないかを問いかけられます

母親の理想の娘である為に漫画を描く夢を捨てた姉との軋轢はどうしても越えなければならない壁として立ちはだかります

それでも・・それでも亜生は漫画を手放しそうになりながらも指先で暗闇を探りながら進んでいきます

一度手放した夢を、年齢で、仕事で、人間関係で、時間でもう諦めたくない

人生いつでも、どこからでもチャレンジする機会は存在していて、あとは自分の踏み出す覚悟だけなんだと教えてくれる作品でした

一言感想

一番の敵は時間だったな~。夢を追える若い頃って時間だけは沢山あった気がするとふと思い出しますね。仕事の企画や漫画の内容もしっかりと描かれていて中身はとても濃い作品だったと思います

主な登場キャラクター

♡片山津亜生
(かたやまづ あお)
広告代理店「J&AD」アートディレクター、31歳

♤七尾丈青
(ななお じょうせい)
広告代理店「J&AD」クリエイティブディレクター&チームリーダー

♤石川友禅
(いしかわ ゆうぜん)
集瑛社週刊ステップ編集者

♡加賀千里
(かが せんり)
29歳、転職1年目でコピーライター志望

♤美川(みかわ)
七尾の同期

♤大桑(おおくわ)
加賀の元トレーナー

♡塩屋(しおや)
亜生の同期で営業部

♤寺井(てらい)
新人プランナー

♤兼六(けんろく)
ベテランADで亜生の仕事の師匠

♡大聖寺ルウ
(だいしょうじ るう)
16歳の新人漫画家、石川の姪、漫画の為に全てを捨てて上京してきた

♡片山津朱音
(かたやまづ あかね)
亜生の姉、子供時代から優秀で母親の期待を一身に浴びていた、既婚子供1人

luck’o
luck’o

試し読みはこちらから↓↓

コメント

タイトルとURLをコピーしました