お金、仕事、家族など医療を取り巻く病気以外の要因に向かい合う仕事、医療ソーシャルワーカー。立ちはだかる様々な問題に新米の犬飼は堂立ち向かうのか⁉

こんにちはLuck’oです
このコーナーは現蔵書3000冊以上、延べ通読冊数6000冊以上のLuck’oが超有名作品から知る人ぞ知るニッチな作品まで出し惜しみなくレビューします
ぜひ気になった作品はチェックしてみて下さい
皆さんの漫画ライフを広げる一助になれば幸いです
※ご注意
ネタバレボタンはネタバレを含みます
ご自身の判断でご利用いただくようお願いします
皆さんのオススメも随時募集中です
問い合わせフォームから未知の良作を教えて下さいね
作品情報
【タイトル】 |
ビターエンドロール |
【作者】 |
佐倉旬 作者のTwitter |
【掲載誌】 |
アフタヌーン |
【ジャンル】 |
医療 |
【巻数】 |
1~2巻 |
オススメポイント
- 医療ソーシャルワーカーの事がよくわかる
- 未熟な犬飼だからこそ物事の本質に切り込める所が面白い
- 他人事ではない病気やケガの現実が生々しい
ストーリー紹介
MSW・・・MedecalSocialWorker(医療ソーシャルワーカー)とは、患者の病気やケガ、後遺症から起きる不安に寄り添う社会福祉の立場から患者を支援する医療従事者の事である
新卒の犬飼はあらゆる面接に落ちまくりここ、清菖医療大学竜巳病院へとたどり着いたのであった
落ちた原因の要因として犬飼の涙腺が常人より遥かに緩い事にあった
幼少時は泣きすぎる余りいじめっ子にも引かれ、大学時代は面接で突然涙を流す奇行で落ちまくってしまう
その上、身の上話を語れば父親が5歳の時に借金を残して蒸発し、女手ひとつで育ててくれた母も過労で血を吐きその時に助けてもらったMSWに憧れていたと話すと周りに引かれてしまう始末であった
そんな犬飼は清菖医療大学竜巳病院MSWの先輩・馬頭の指導の下でソーシャルワーカーとしてデビューするが現場に手取り足取り教えてくれる余裕はなく全てオンザジョブで慣れていくほかなかったのであった
右も左もわからず涙腺が尋常でないくらい弱い、そんな犬飼だったが業務の中で疑問に思うことはズバズバと切り込んでいった・・・言ってはならない相手とタイミングで(汗)
それに頭を抱えつつも馬頭は犬飼に仕事を与え実戦経験を積ませようと画策する
1巻(2021/9/22)

収録
第1話 脳卒中
第2話 アルコール依存症
第3話 がんと生活保護
内容紹介
◆犬飼 清菖医療大学竜巳病院にMSWとして初出勤
馬頭と同席した面談で号泣、追い出される
↓
◆犬飼 斉賀を担当する
斉賀の異常をいち早く察知する
↓
◆犬飼 アルコール依存症の棚橋と面談
棚橋に付き添って断酒会に参加
↓
◆犬飼 末期がんの仲吉と面談し生活保護を勧めるも固辞される
仲吉の自宅の片づけを手伝い説得の材料を探す
解説という名のネタバレ
最近は色々な医療漫画が出ていますがこの作品は「医療ソーシャルワーカー」という仕事がテーマになっています
この作品では事故や怪我、治療などは既に終わった話です
一部長期治療のものもありますが基本的には事が起こった後に患者と一緒にこれからを考えていくのが目的となっています
主人公の犬飼は常人より遥かに涙腺が弱くそのせいで就職出来なかったり困難はありましたし、現場でもすぐ泣いて馬頭の怒りを買うこともありますが猫の手も借りたい現場に振り回されながらもよくついて行っている印象です
泣く=弱気というわけでもなさそうなんですよね
むしろ黙ってやり過ごせない感はあるんですが、どこか考えがズレているので変わり者扱いされてしまいます
(例・生活保護した患者がいてそれをバカにしている人がいる→貧困をテーマにした参考になる映画がある→その人(赤の他人)を突然映画に誘う)
犬飼の教育係の馬頭もかなりやり手の女性で、彼を時に厳しく時に更に厳しく導いてくれます(笑)
しかし医療ソーシャルワーカーという立場の難しさや限界もよく知っているので、考えなしに無茶をする犬飼に怒りながらも期待している部分はあるようです
その先に進むもとどまるも患者次第で優しく背中を押す仕事というのはかなり難しいですよね
医療の部分は勿論の事、社会福祉についても学べますしとても為になるし、いつ自分に起きてもおかしくない事だとも思いました
一言感想
それでもいきなり医療関係者に号泣されたら引く(笑)

試し読みはこちらから↓↓
2巻(2022/3/23)

消化器内科の牛尾先生から馬頭経由で犬飼に任された退院患者の生活相談だったが、潰瘍性大腸炎歴9年の患者に正論を吐いてすっかり信用を失ってしまう。一緒に悩んで問題を解決しようとする犬飼だったが患者の健常者への不信感は相当なもので中々打ち解けてくれない中、患者が病院から脱走してしまう。必死に街を探し回る最中、犬飼はある行動を取る事で患者の信頼を得ようとしていたが・・・
収録
第4話 潰瘍性大腸炎
第5話 乳がん
第6話 ヤングケアラー[前編]
第7話 ヤングケアラー[後編]
内容紹介
◆犬飼 潰瘍性大腸炎の針間を担当するも信頼が思うように得られない
針間が病室を脱走する
犬飼 オムツを履いて行動する事で下痢に苦しむ患者を理解しようとする
↓
◆犬飼 乳がん治療中の倖乃の相談を担当する
一度は突き放されるも倖乃に寄り添い心の内を聞きだす
犬飼と馬頭がダブルで姉妹の相談に乗り問題を解決に進める
↓
◆犬飼 矢野口昭子の息子に相談を受ける
景都と話を合わせる為にSwitchを買ってアカウントを作る
景都がヤングケアラーの疑いを持つ
↓
◆犬飼 矢野口に介護サービスを提案
景都と周りと一緒になって介護する考えを説く
解説という名のネタバレ
今回思ったほど犬飼は泣きません(最大のネタバレ!!)
患者は9年前に潰瘍性大腸炎を発症し、寛解と再発を繰り返す26歳の針間。社会人としてこれから成長して行かなければいけない時に病気の発症で会社を辞めざるを得なくなり健常者の真っ当な慰めには反感すら抱いていました。その上、婚約した恋人もいて社会的責任のストレスが体を蝕み続けます
次の患者は乳がんの牧倖乃。ただでさえ女性特有のデリケートな病気の上にキャリアウーマンとして活躍してきた人生からもドロップアウトし、更に同じ女性として家庭を築いている姉との見えない軋轢もそんざいしました
そして認知症で怪我をし入院した患者の孫である矢野口景都との出会いがありました。
彼は仕事に父子家庭の中で仕事に忙殺される父親に代わり祖母の面倒を見続けていました。幼い妹もおり自分がやらなければいけないと仮定を切り盛りする景都でしたが、そこには病人の周囲の健常者を介護者として当たり前の様に使役するヤングケアラーという問題が横たわっていました
MSWとして駆け出し犬飼ですが今回はまーまー患者に拒否されます(笑)
それは病院関係者とはいえ犬飼も1人の健常者です
何かと拒否反応が出るのは仕方ない事かもしれませんね
それでも患者に寄り添おうと馬頭のアドバイスなどを取り入れながら奮闘する姿は犬飼じゃなくても涙を誘いますね
病気だから何としても直すとか元に戻すじゃなくて今を立ち止まって今の事だけ考えてもいいって言葉は響きましたね
これはドラマ化しかありませんね!
そしてMSWというワードにはある重大な意味が隠されていると発覚します
M(マゾ→犬飼)S(サド→馬頭)W(ワケアリ→八木)・・・・(笑)
一言感想
付かず離れずではなく付きすぎるくらい寄り添うのがMSW!素敵な仕事です!

試し読みはこちらから↓↓
主な登場キャラクター
♤犬飼(いぬかい)
清菖医療大学竜巳病院MSW新人
♡馬頭純
(ばとう すみ)
清菖医療大学竜巳病院MSW
♤八木筆美
(やぎ ふでみ)
清菖医療大学竜巳病院MSW
♡羽鳥陽菜子
(はとり ひなこ)
清菖医療大学竜巳病院看護師
♤鷹崎哲匠
(たかさき てっしょう)
清菖医療大学竜巳病院脳神経外科医
♤牛尾くるみ
(うしお くるみ)
清菖医療大学竜巳病院消化器内科医
♡羊温柔
(よう うぇんろう)
清菖医療大学竜巳病院看護師
♤熊谷颯太郎
(くまがい そうたろう)
清菖医療大学竜巳病院腫瘍内科医
【エピソードキャラ】
♤斉賀(さいが)
患者、28歳、脳卒中で入院
♡棚橋詩織
(たなはし しおり)
患者、1児の母、アルコール依存症
♤仲吉吾郎
(なかよし ごろう)
患者、68歳、多発性骨髄腫
♤大悟・♡美花(だいご・みか)
吾郎の子供
♤針間翔
(はりま しょう)
患者、26歳、潰瘍性大腸炎
♡陽愛(ひまり)
針間の恋人で婚約者
♡牧倖乃
(まき ゆきの)
患者、乳がんの治療で入院
♡牧暁奈
(まき あきな)
倖乃の姉
♡矢野口昭子
(やのぐち あきこ)
患者、認知症による怪我で入院
♤矢野口景都(やのぐち けいと)・♡瑠香(るか)
昭子の孫
コメント