【クラシック】第11回 川原正敏「修羅の門」を読む!

修羅の門01 バトル・アクション
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こんにちは
湖面をたゆたう漫画好きLuckoです

このブログではいい年した漫画好き(汗)のボクが、これまでの漫画遍歴で好きだった漫画や作家さんの作品を中心にあらすじやキャラクターを簡単に紹介しつつレビューしていきます

完全に個人の独断と偏見ですのでその辺はご容赦ください

あとネタバレも含みますので注意してくださいね

今回ご紹介するのは川原正敏「修羅の門です

この作品はほぼリアタイで読んでいました
今でこそ異種格闘技(というか最近は闇鍋ジャンル化してますが)というカテゴリが当たり前ですが、この当時は格闘技間の壁は厚く一般的に異種格闘技と言えばアントニオ猪木氏が行った「vsモハメドアリ」「vsウィリーウィリアムズ」などのぶっちゃけ「興行」がメインでした
1990年代の格闘技漫画は作中に格闘技世界一を決めるトーナメントが主流となりましたがその走りはやはり「修羅の門」だったと思っています
それだけ格闘技漫画に大きな影響与えた作品を振り返り読んで行こうと思います!

作品概要

【作品名】
 修羅の門 
【作者】
川原正敏
【連載期間】
 1987〜1996 
【巻数】
全31巻
【掲載誌】
月刊少年マガジン

作品紹介

Part.1「神武館編」・「全日本異種格闘技選手権編」

未知で魅惑の「古武術」

この作品のジャンルは言うまでもなく「格闘技」ですが、古武術という一般的ではない武術を世に知らしめた功績と格闘技ファンを魅了する多彩な技や多方面に及ぶ対戦相手などもストーリーをワクワクさせた要因となっているのは間違いありません
無駄に古武術のハードルを上げた責任もあります(笑)

主人公「陸奥九十九」

主人公は謎に包まれた武術「陸奥圓明流」をベースにした格闘家「陸奥九十九(むつ つくも)」
お世辞にも格闘技をする上で体格に恵まれたとは言えない人物ですが、常軌を逸した反射神経と現代格闘技(当時)では計り知れない多彩な技を駆使して最強格闘家へと昇りつめて行きます
なんと陸奥圓明流は「二千年不敗」!!

空手最強「神武館」

最初にケンカを売ったのは「空手」
祖父「陸奥信玄(むつ しんげん)」の知人である「龍造寺徹心(りゅうぞうじ てっしん)」が館長を務める空手家最大会派の「神武館(しんぶかん)」にいきなり挑みます
・・・と思ったら記念すべき最初の相手は道場破り(死語?)の「毅波秀明(きば ひであき)」でした・・・



そして徹心の孫「舞子(まいこ)」からしっかりヘイトを集めつつ(笑)神武館最強の5人との戦いが始まります

№5の「木村(きむら)」から神武館トップ4「四鬼竜」が登場!
№4 鳥人「泉敏彦(いずみ としひこ)」→跳躍力とキック
№3 北の重戦車「増畑大志(ますはた たいし)」→パワー
№2 ハリケーンソルジャー「陣雷浩一(じんらい こういち)」→ケンカ空手
そして№1の天才「海堂晃(かいどう あきら)」→とにかく天才

空中技・パワー・反則上等からの天才とほぼバリエーションコンプしちゃいますが(笑)、特に海堂との戦いはどちらが勝ってもおかしくない激戦となりました
古武術に良い所は謎な技がどんどん出て来るし奥義「無空波(むくうは)」は超振動による衝撃波なんて代物も登場します
いきなり空手界トップを倒して空手コンプリート!!・・ではなくお次は空手界№2の「鬼道会(きどうかい)」に絡まれます
明らかに悪そうな名前・・・でもここには海堂を超える(と言われている)天才「片山右京(かたやま うきょう)」がいます
ミリ単位で相手の攻撃を見切る格闘技センスを持ち「汗を嫌う天才貴公子」という謎キャラなのもいい(笑)

「全日本異種格闘技選手権」

ここで龍造寺徹心が動きます
「全日本異種格闘技選手権」の開催を発表!ルールは基本的に何でもありでジャンルも不問。文字通り日本最強の格闘家を決める大会です
でも有名所は敗北のリスクを気にして尻込みする中、本物を引っ張り出す為に九十九がガンガン道場破りに奔走します
この男も目的に手段を選ばないな・・・

現れたホンモノ

その結果、九十九の念願叶ってああらゆるジャンルの「本物」が登場します

一回戦はキックボクサーの「竹海直人(たけみ なおと)」
役の日本ミドル級チャンピオンでその蹴りは本場ムエタイでも通用する実力者!
二回戦はシュートボクシング次世代の星「羽山悟(はやま さとる)」
打つ・投げる・決めるが複合された現代の総合格闘技の元祖にして知名度向上に燃える不屈の天才!
三回戦は現役プロレスラー「飛田高明(ひだ たかあき)」
新格闘王と呼ばれプロレスこそが世界最強と信じて疑わない男だったがリアルバウトを求めすぎて試合でプロレス界からにらまれている程のガチファイター!
そして準決勝は空手界の天才・片山右京
両手を激しく振動させ相手の脳をシェイクする秘技「菩薩掌」を携えての参戦!

伏兵は圓明流

しかし反対側のヤマで波乱が起きます!
準決勝で本命の龍造寺徹心が敗北!
倒したのは陸奥圓明流の分派・不破圓明流の継承者「不破北斗(ふわ ほくと)」
同門対決故に手の内が分かり試合は拮抗します。しかも技量や駆け引きは不破の方が若干有利な上に陸奥にない奥義「神威(かむい)」を食らい絶対絶命!!
そこで九十九が繰り出したのは奥義を越えた所にある境地「四門」
人間を超えた身体能力が求められる4つの技のひとつ「朱雀(すざく)」で不破を殺します
本来圓明流は人殺しの技でありその頂点に類する技なら当然そうなるでしょう
これにて「全日本異種格闘技選手権編」は終了です



上手い事(?)各ジャンルのトップファイターを網羅しましたが、最後が圓明流同士の「殺し合い」になったのが物議を醸します
もちろん九十九は決勝までに戦ったライバル達を尊重し正々堂々と戦いますが、北斗の存在がより戦いの本質を浮き彫りにしてしまいました
ジャンプなら絶対味方になって次のシリーズに入るんですけどね(笑)

Part.2「アメリカ編」

未闘の格闘技「ボクシング」

アメリカのメジャー格闘技と言えばもちろん「ボクシング」ですよね~
海を渡った九十九はボクシングヘビー級にチャレンジします
・・・・・・そんな体型だったっけ?というあなた!!
そこは漫画です!!(ビシッ!)
厳密にはヘビー級は体重無差別といういわばルールの穴をついてライセンスを取って行くのですが、さすがにアメリカで道場破りって訳には行きません
下手すると強制送還ですからね(笑)

初トレーナー

そこでバックアップメンバーとして登場するのが「テディ・ビンセント」「フランク・クラウザー」です
テディは元トレーナーでしたが名トレーナー「エザード・ロス」に勝てず引退しました
そのモットーは選手のやる気を引き出すトレーニング!させるのではなく選手の自主性の中でその才能を発揮させます
別名は「何も教えない男」
圓明流ベースでボクシングに挑む九十九には最高のトレーナーです
フランクは飛田高明の師匠でアメリカトップレスラーだった人物(全日本異種格闘技選手権編から登場)別名は「プロレスの神様」
アメリカの格闘技界に精通し顔も広いこちらも無くてはならない存在

孤独な最強ボクサー

そしてラスボスはエザード・ロスのラストサン「アリオス・キルレイン」
エザードが提唱した「ナンバーシステム」を唯一完璧に体現出来る人物で「最高傑作」とまで言わしめたボクサーです
しかしその前にエザードが他界し現在は金儲けしか興味がないプロモーター「ボブ・キング」の元で活動しています

世界ヘヴィ級統一トーナメント

キングはアリオスが10代の間に「史上最年少チャンピオン」として売り出そうとWBC・WBA・IBFのチャンピオンを集めて世界ヘヴィ級統一トーナメントを開催します
九十九陣営もそのトーナメントに入る為あらゆる手段を講じますが、それを知った上でキングは九十九を拒否!
道は閉ざされたかに見えましたが、九十九がトレーニング中に助けた女の子が「経済王」と呼ばれる「エドワード・ヒューズ」の孫娘「フローレンス」だった事から事態は一変
経済界最高の圧力に屈しキングは九十九のトーナメント参加を認めます
さすがにアメリカでは格闘技の実力以外の要素も必要になってきます(笑)

セコンドはインディアン??

トーナメント前には外伝「修羅の刻」で陸奥東(あずま)がアメリカを訪れた時に親交が出来たインディアンの一族・ネズ・パース族の「ジルコォー・マッイイツォ」もセコンドに入り体制は万全⁉
一回戦の相手は白人のヘビー級ボクサー「リック・ガンフォード」
「ホワイトホープ」と呼ばれ黒人が席巻するボクシング界で白人の後押しを一身に受ける人物
アメリカが舞台となれば人種差別問題は必ず入って来るもんです
そのリックを・・・頭突き(正確には間に手を挟んだパンチの一種「浮嶽(ふがく)」)で一蹴・・リックは顎粉砕です(チーン)



二回戦は「ジャージィ・ローマン」
元王者で現在世界4位の42歳
一度は引退するも神の声を聞き復帰した人物で二つ名は“ザ・ロードバック”
神様のささやきのせいで攻撃が全く当たらない・・・厄介な人物でしたが最後は神様ごとボコります
恐るべし陸奥圓明流・・・というか陸奥九十九(汗)



準決勝はWBCヘヴィ級チャンピオンの「マイケル・アーロン」
「鉄人」と呼ばれ綿密なトレーニングと精緻な戦略で実力を発揮するボクシング最高峰の1人
でもどこまで行ってもボクシングを「ビジネス」で扱うアーロンと「殺し合い」をする九十九では格闘家の格が違いました
最後はほぼ威圧で勝利(笑)

またしても伏兵?

もちろん反対側のトーナメントではアリオスが順調に勝ち進む・・と思ったら準決勝ではIBF世界10位でアフリカ人ボクサー「アナクレト・ムガビ」に大苦戦
・・・またラスボス代わる??
と思いましたが無事にアリオスが勝利し決勝は「九十九vsアリオス」

面倒な親娘

でもここで別のラスボス級が登場します
神武館アメリカ支部長にして神武館最高師範「龍造寺巌(りゅうぞうじ いわお)」とその妻「凛子(りんこ)」
舞子のパパ&ママ登場です!!!
九十九と舞子の間に暗雲が・・・ってそんなマンガじゃなかった(笑)
ちなみに凛子が徹心の娘で巌は婿養子です
対アリオスの練習相手を買ってくれた巌でしたが元は「鬼」と呼ばれた格闘家
・・血が騒ぎガチバトルに突入です!!
無駄にダメージを蓄積した上で決勝戦に突入です(汗)

やっぱり強かったアリオス

アリオスはボクシングという枠組みの中では破格に強いファイターでした
そんな相手とダメージ付きで真っ向勝負する九十九もキャラ貫いてて良かったですが、決勝に相応しいハイレベルな攻防の末に九十九は勝利し統一王座に輝きます
今回は四門なしでアリオスも生きてます
正直最後は殺し合いになる漫画と思ってたのでこれは意外でした
アメリカ人が見たら怒られそうな無茶展開でしたが人種や経済の力も借りつつ九十九はアメリカを制覇してしまいました
今ならMMAとかも活況なんでしょうがとりあえずこれにてアメリカ編は終了です

Part.3「ブラジル編」

古武術vs柔術

ブラジルと言えば・・・サッカー!!サンバ!!そして「柔術」!!!
丁度連載中に総合格闘技がブームになって行き前田光世がブラジルで広げた「グレイシー柔術」が日本でもブームになりました
と言う訳で今回はその代名詞でもある「ヴァーリ・トゥード」です
ヴァーリ・トゥードは「なんでもあり」という意味で「目突き・金的・噛みつき」以外は全てOKとされているルールです

ラスボスは心優しい神父

ラスボスは「レオン・グラシエーロ」
「グラシエーロ柔術」の使い手で最強の人物
でもあまりに好戦的な自分の本性にドン引きして今はグラシエーロとは距離を置いて神父になって町の貧しい子供たちの世話をしていました
そのレオンを容赦なく引っ張り出すのが彼を復帰させたいグラシエーロ一族と我らが九十九です
・・・こう見ると九十九ヤベー奴ですね(今更)
グラシエーロ柔術の長「ビクトル・グラシエーロ」は現グラシエーロ柔術無差別級チャンピオンでレオンの弟「ラモン」よりレオンを評価していて表舞台に引き戻したいと考えていました
そこで九十九の登場を機にぶち上げたのが総合格闘技大会「ヴァーリ・トゥード」
レオンも子供達を養う金が必要でやむなく参加を決意します

お約束のトーナメント突入

またトーナメントです・・・
こうなると九十九の「無敗」キャラって足かせですらありますよね
敗北からの成長が描けないし日本の実力者やヘビー級ボクサー倒してたらもう簡単にはピンチにもなりませんし・・・



一回戦はカポエイラ使い「リカルド・マジーニョ」
・・・瞬殺

二回戦は元十両「南洋竜」こと「サレバ・ペニタニ」
体重差に苦しむもダブル踵落し(斧鉞)で撃沈

三回戦
傭兵「ブラッド・ヴェガリー」
なんでもありを勘違いした反則攻撃多数も片目潰され終了

三度の神武館

準決勝は三度登場の神武館
神武館南米チャンピオンの「イグナシオ・ダ・シルバ」
空手のセンスに加え恵まれた体格とバネを持つ過去最強の刺客
しかも後ろに控えるのは信楽焼・・ではなく神武館ブラジル支部長「徳光(とくみつ)」
研究が得意で別名「魔術師」と呼ばれ外から知恵をイグナシオに授けます
凛子を狙うも巌に負けたのは黒歴史・・・舞子がタヌキにならなくて良かった・・

何かを期待するなら反対側の準決勝

さすがにイグナシオは尋常じゃない強さでしたが、それよりも気になるには反対のヤマ
レオンの相手はプロレスラー「ジョニー・ハリス」
「破壊王」と呼ばれどんな攻撃も通じない
でもさすがに状況やビジュアルを考えるとレオンも負けはありませんでした(笑)

両腕折れても負けない圓明流

今回は横槍も入らず決勝は「九十九vsレオン」
ここまで立ち技主体の戦いでしたが初めて本格的な寝技の攻防が行われます
技の鋭さや「極める→折る」を迅速に仕掛けるレオンに両腕が使えなくなり連載史上最大のピンチ!!
さすがに負ける⁉と思いましたが奥の手「四門」発動!!
腕を使わない秘技「玄武(げんぶ)」で激闘に終止符を打ちます
四門を食らったレオンは死亡・・この結末が読者の間で物議をかもし、ストーリー的には完結していないのですが川原先生のモチベーションなどもあり一旦終了となります

このままヨーロッパから中国に行く流れだったので次の「海皇紀」が45巻続いた事を考えるとちょっと(かなり)残念な中断だったと言えます
後に続編「修羅の門 第弐門」へとストーリーは引き継がれますが格闘技界を囲む環境もこの間にだいぶ変わりましたからね
そのせいで出来なくなった設定とかもあるんじゃいかと思います
ではこれにて「修羅の門」読了です!

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