
こんにちは
湖面をたゆたう漫画好き・ラッコです
このブログは漫画好きの私が好きな漫画家や漫画作品を中心にあらすじや登場キャラクターを通した作品の魅力を紹介していきます
完全なる独断と偏見と趣味性であることをご了承の上、閲覧してください
※ご注意
このコーナーは大なり小なりのネタバレを含みます
ご自身の判断で閲覧いただくようお願いします
今回紹介するのはゲーム制作会社を舞台にした作品「東京トイボックス」の続編「大東京トイボックス」です
え?タイトル一緒?
何言ってるんですか~「大」がついてますよ!
もちろん前作から続いて弱小ゲーム制作会社の悲哀を描いた作品となっています(笑)
新キャラの登場から社会問題まで切り込んだ意欲作でゲームへの熱い魂を感じられると思います
作品概要は以下の通り
TheWorkData
【作品名】 |
大東京トイボックス |
【作者】 |
うめ (小沢高広・妹尾朝子) |
【巻数】 |
全10巻 |
【連載期間】 |
2006〜2013 |
【掲載誌】 |
月刊コミックバーズ |
【ジャンル】 |
ビジネス |
【TVドラマ】 |
2014.1~3 |
今回は全10巻なので1~5巻、6~10巻の2回に分けてお送りします
それでは行ってみましょう!
大東京トイボックス(その1)1〜5巻

■その後のG3
大東京トイボックスは前回から2年後を描いています
変わった点と時代閉経的には
・月山が社長に就任
・グラフィッカーで太陽と一緒にソリダスを辞めてG3を作った「谷崎七海(たにざき ななみ・36)」がソリダスに復帰し「サムライ・キッチン2」を担当
・次世代機(PS3)やニンテンドーDSが台頭していた時代
です
よかったら「東京トイボックス」もどうぞ
まずはのっけから新キャラが登場です
大阪生まれでゲーム業界を夢見る女の子 百田モモ(ももた もも・24)は太陽の勘違いでスタジオG3に試験採用されます
志望は企画ですが大した企画力がなく現実的に武器は「夢と希望」だけです
もちろんいくら場末の制作会社とはいえその程度で通用するはずもなく一度は仕事から逃げてしまいます
しかし彼女が擦り切れる程プレーして人生を支えてくれたゲーム「ソードクロニクル3」のディレクターが太陽だと知りもう一度夢だった業界にしがみつこうとします
今度は「努力と根性」も携えて・・・大丈夫か?
前作では太陽のライバルである仙水が敵役でしたが、今回はソリダスユーロから刺客がやってきます
その名も「卜部(うらべ)・ジークフリートアデナウアー」
皆さんはどんなイメージを持ちますか?
そう!
角刈りで細身の日本風中年オッサンです(ズコー!!)
序盤は品証部顧問として赴任して来ますが、執行調査部を起ち上げレーティングやあらゆる審査に顔を出してきます
でも前半はおとなし目ですね
あと前作でも登場しましたが太陽と仙水の長年の上司である御堂(みどう)専務も重要なキャラとして登場します
太陽に拘る仙水をモーツァルトの才能に嫉妬したサリエリに例えた博識な人物です

■新ハードで新ゲーム⁉
ともかく新メンバーを加えたスタジオG3は月山の主導で新しいゲーム開発に着手しようとします
その後押しとなったのは当時一世を風靡したハード「ニンテンドーDS」です
予算も人数もかけずに面白いゲームを作る事が出来るハードに太陽達も乗り気でした
・・・そう・・「でした」
地に足を付けた経営と開発を目指していたG3の状況を一変させたのは勿論「ソリダス」でありAM2局局長の仙水です
彼は「SOUP(ソリダスワークスオープンユニバーサルプログラム)」という次世代向けの開発方式を提唱します
要するにソリダスと一緒に出資する事で膨大な次世代機ゲーム開発の予算リスクを減らして、有用な中小開発メーカーを引き込もうという算段です
奇しくもこの時ゲームの悪影響によって少年犯罪が頻発するという社会問題もゲーム開発には向かい風となっていました
誰もがリスクを避けたいからみんなで危ない橋を渡りましょう!って事ですね(笑)
ここでパブリッシャーの須田はスタジオG3に次世代機での開発を行うよう促して来ます
勿論月山は断ろうとします(そりゃそうでしょう)
でもG3は元来ゲーム制作会社なんです
結局その情熱に月山は折れるのですが、これが失敗の始まりでした(チーン)

■漂う暗雲・・
まず須田が渡りをつけた共同開発会社の「電算花組」
同人ゲームサークル「九龍黒パンダ団」が母体となったこの会社の売りは「萌え」
ある意味G3には門外漢の分野です
しかも社長の半田(はんだ)は若くして成功を収めたイケイケの経営者・・どう見ても太陽とは水と油・・(失敗その①)
開発の主導は電算花組で太陽も三下り半を下されますが、起死回生で出した企画は何と「シューティングゲーム」
20世紀の遺物と言っても過言ではありません(汗)
しかもプログラムを買って出た金田(かねだ)は勝手にシューティングと相性最悪の「SWE(ソリダスワークスエンジン)」の試用版で組んだ上に頓挫して音信不通(チーン&失敗その②)
一次審査をパスして二次審査の「プリプロ(制作期間や予算を明確にし実装出来るレベルのデモプレイを用意するイベント)」で完璧な音声付動画を用意して来た電算花組に対しG3が提出したのは・・・・・・・・・「静止画」⁉
半田にはブチ切れられ仙水にはお情けで審査を通過させられる屈辱を味わいます(失敗その③)
挙句の果てには太陽まで絶好調に見える暴走モードに入ってしまいます(失敗その④)
これを受けた月山はプログラムチーフの依田(よだ)と水面下である作戦を進めていました

■G3分裂危機⁉
案の定太陽は月山が北米のE3に行っている間に勝手にゲームの仕様を変更します・・がこれに関しては月山の方が一歩上手で三次審査の「α審査」を乗り切ります
その代償は大きく月山は太陽の信頼を失ってしまいます
しかも月山が会社の為に太陽を裏切る事まで仙水の思惑通りとくれば後はG3の空中分解も待ったなし!
の状況に動いたのはここまであまり役に立っていなかったモモでした
誰よりも純粋にゲームへの情熱を持つ彼女は妥協したαを良しとせずG3スタッフ全員の家を周り面白いゲーム作りへの理解を求める事で太陽の背中を押します
ただ一人チームの輪から取り残された月山を除いて・・・
迷走する太陽!
開発が遅れる新ゲーム!
暗躍する卜部!
暴走する仙水!
立ち位置に悩む月山!
解雇され音信不通の金田!
問題山積みのまま後半へと続きます!

《主な登場キャラクター》
■スタジオG3
天川太陽(てんかわ たいよう)
元社長で企画チーフ
元ソリダスの社員でソリダス嫌い
月山星乃(つきやま ほしの)
代表取締役社長
元外資系企業OLでゲームには詳しくない
百田モモ(ももた もも)
ゲーム会社就職を志すフリーター
ヤル気はあるが若さ以外の武器はない
ソードクロニクルに人生を救われた
依田敦史(よだ あつし)
チーフプログラマー
ソリダス時代からの戦友
阿部茉莉(あべ まり)
チーフグラフィッカーで腐女子
金田正志(かねだ まさし)
プログラマー
夢を諦めた過去をひきずっている
■ソリダスワークス
仙水伊鶴(せんすい いづる)
AM2局局長、太陽の幼馴染
ソリダスシリーズの生みの親でそれを笠にやりたい放題
窪ノ内品子(くぼのうち しなこ)
仙水の秘書、仕事より仙水優先
谷崎七海(たにざき ななみ)
元スタジオG3グラフィッカー
太陽、仙水とは古い関係
御堂雄頑(みどう ゆうげん)
代表取締役、元太陽達の上司
卜部(うらべ)・ジークフリート アデナウアー
品証部顧問、ソリダスユーロ所属
ゲームの在り方に思う所がある
■その他のキャラ
半田花子(はんだ はなこ)
電算花組社長、若くして起業した勝ち組イケイケ経営者
須田大作(すだ だいさく)
ゲーム販売会社MMG社長

大東京トイボックス(その2)6〜10巻
さあ後半行ってみましょう!
■デスハイ完成?
まずゲーム制作パートですがG3はソリダスや須田の意向を無視した太陽を中心にして「本当に面白いデスハイ」制作に乗り出します
ここまで太陽のマウントを取って来た半田も自社パートがソリダスチェックに引っかかり大企業の圧に屈しそうになりますが、最後は太陽の熱意に押されG3案に合流します
しか~しそんな勝手を見逃してくれるソリダスではありません
なんと過去に出たシューティングゲームをデスハイに寄せて焼き直し発売日を同じ日にぶつけてきます
・・今回の敵は中々に陰湿さが徹底してます(笑)
苦肉の策で発売日を前倒しすると山の様に重なって来る仕事、そして疲労・・
遂にプログラムチーフの依田がダウンしてしまい万事休す⁉
これを聞きつけて現れたのは仕事に行き詰まり大阪まで逃げていた金田でした
今度は出来ない仕事を人のせいにせず自分としっかり向き合ってG3のピンチを救ってくれます
・・まぁ、元はと言えば彼が作ったピンチでもありますけどね(笑)
スタジオG3、電算花組と須田のMMGが腹を括って作り上げた「完成版」を手に太陽は単身ソリダスに乗り込みます
これでゲームパートと金田パートは回収です

■卜部の正体
そして一番厄介な「卜部ルート」に行きましょう!
まず卜部は「ソリダスチェック」に続き国会で審議中の児童ポルノ法改正案にゲームが入らないように新レーティング機構「テミス」を立ち上げます
更にその審査能力を使い電子教科書など教育分野に進出する新プロジェクト「EGGS(エッグス)」を使い業界の新基準を掌握しようと国に持ち掛けます
ソリダス内部では仙水を擁護する御堂に反感を持つ幹部を焚き付け「解任動議」を発動・・御堂はその立場を追われてしまいます
もうゲーム漫画の枠組みを大きく超えてきました(汗)
そしてソリダスにやって来た太陽と直接対決に臨みます

■仙水inドイツ
ここまで暗躍する卜部とは何者なのか?そしてその目的は?
それはここまでハブられていた(⁉)仙水が解決の糸口を見つけてくれます
彼は社内で仙水排斥の機運が高まるとこっそりドイツに飛んで卜部の足跡を追っていましたが、とんでもない事実を知ってしまいます
卜部は数年前にドイツの学校で起きた生徒による銃乱射事件の関係者だったのです
原因となったのは海外版の「ソードクロニクル」
最初は「被害者の親」として未熟な子供を扇動するゲームに物申したい・・というスタンスかと思ったら実は違う立場だったんですね
これがまた闇深かった
そんな彼が太陽にある問いを投げかけます
「自分が作ったゲームで人が死んだらどう責任を取る?」
さすがにこれは太陽も悩みました
人の命が懸かってますからね
でもその悩みに答えをくれたのはソードに救われた人物・・そう!モモでした
「ソードクロニクル」の奇縁によって巡り合わせた太陽と卜部
果たして太陽はどんな答えを出すのでしょうか?
ゲーム制作の苦悩や悲哀だけでなく法律などによる縛りやレーティングなどあまり買う側が知ることはないけれどとても大切な問題をテーマにしたかなり複雑なストーリーとなっています
それに絡めて太陽と仙水の幼少期からの過去話やソリダス時代のエピソード、2人の恩師である「桜庭甚平(さくらば じんべえ)」を交えたG3起ち上げ秘話などどの角度から切り取ってもおいしい作りとなっています
そのスケールで考えたら序盤で混乱をもたらしたモモや金田なんてかわいいもんです(笑)
実際見比べてみるとドラマ版のキャストって結構悪くないんですよね
予算の都合でG3のメンバーが半分以下になってたのが痛かったかな~
「大東京」パートなんて原作同様に作ったら映画化でもいいくらいだったと思うのは僕だけでしょうか?
あと月山&太陽パートは不仲な間もイチャついていたみたいで納得いかないハッピーエンドでした(笑)
臭いヒゲジャージのどこが良かったんだか・・
やはりチームで力を合わせて何かを作るっていうのは素晴らしい事だとおもわされますが、そこに予算や大人の事情が乗っかった時にモノづくりの信念っていうのが浮き彫りにされてきますね
従うのか?折れるのか?それとも付き通すのか?
最終的の太陽は超カッコよかったです!!
これで「大東京トイボックス」は終了です
物語は間接的ながら次の「東京トイボクシーズ」へと続いて行きます
ではそれはまた今度紹介しますね
ではまた~

《主な登場キャラクター(その2)》
フランツ・ボルク
ドイツ人の新聞記者
桜庭甚平(さくらば じんべえ)
太陽と仙水の元上司、御堂と同期、故人
郷田豪(ごうだ ごう)
ゲーム雑誌編集者
哀川サキ(あいかわ さき)
郷田の同僚
シン・トーマス
ゲーマー、インド人、何時間でもゲームに集中できる
浦間(うらま)
七海の部下、ソリダス相手にクーデターを仕掛ける


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