こんにちは
湖面をたゆたう漫画好きLuckoです
このブログではいい年した漫画好き(汗)の私が、これまでの漫画遍歴で好きだった漫画や作家さんの作品を中心にあらすじやキャラクターを簡単に紹介しつつレビューしていきます
完全に個人の独断と偏見ですのでその辺はご容赦ください
あとネタバレも含みますので注意してくださいね
今回ご紹介するのは柳本光晴「龍と苺」です
この作品は「響」でヒット作家になった柳本先生の次作と言う事で1巻から追っていました
正直1巻を見た感想は「輩系女子」が主人公で小説が将棋になっただけじゃね?と思っていましたが、古い慣習がはびこ・・由緒正しい将棋界独特のルールが大きな壁になったり破天荒な主人公を更に上回る破天荒な棋士がいたりと飽きさせない展開が多くありました
響同様に業界の殻を破る主人公の行動に爽快感を感じると同時に、それでも守るべき大事なしきたりやルールがある事も同時に教えてくれます
昨今の将棋ブームもありますが若い人に見てもらいたい作品ですね
作品概要
【作品名】 |
龍と苺 |
【作者】 |
柳本光晴 |
【連載期間】 |
2020〜 |
【巻数】 |
既刊16巻 (2024.7現在) |
【掲載誌】 |
週刊少年サンデー |
作品紹介
■ジャンル
この作品のジャンルは「バイオレンス」・・・もありますが基本「将棋」です(そうだろう)
将棋と言うプラットフォームの中で「バトル」もあるし中学生の主人公の「日常」や「学校生活」も含まれています
将棋に懸ける人たちの「ドラマ」もあり我々が知らない「プロの将棋界」を垣間見れる作品となっています
■メインキャラクター
「藍田苺(あいだ いちご)」
中学2年生の女子、性格は直情的できつめ、のっけからクラスメイトを虐めている同級生に「虐めている奴は虐められる覚悟も必要」と椅子で殴り掛かるごく普通の中学生です(⁉)
自分の命を懸けられるような何かに出会いたいという欲求を持っている武士のような女の子(?)
「宮村(みやむら)」
苺の中学のスクールカウンセラー、元校長の立場から生徒の自主性を大事にする人で自分の趣味である将棋を通して生徒と対話しようとする
■ここまでのあらすじ
自分の命を懸けられる物を探していた苺はスクールカウンセラーの宮村が勧めるままに彼の趣味である将棋の相手をします
宮村は一発で彼女の将棋の才能を見抜き市の将棋大会に参加させます
すると苺はその大会で優勝してしまいます(将棋を始めて2日目)
しかも決勝の相手は名人「大鷹風雅(おおたか ふうが)」の娘「月子(つきこ)」
苺の勝負に懸ける執念がここ一番での勝負勘を発揮させアマチュアレベルを飛び越えた才能を発揮させますが上には上がいます
プロ棋士「伊鶴航大(いづる こうだい)」にボッコボコにされ鼻っ柱をへし折られます(更に財布まで取り上げられます)
ここで諦める・・訳はなく最短で仕返しする方法を模索し将棋部の「滝沢圭太(たきざわ けいた)」に拳で相談します(⁉)
その結果「竜王戦」への出場が最適と知った苺は、滝沢と一緒にアマチュア竜王戦に参加しますが将棋界にプロスポーツで時折起こる「ジャイアントキリング」は存在しません
単純に強いから勝つ!そしてプロはアマより確実に強い!!
この大きな壁に向かい苺は前人未到の挑戦を始めて行きます
■メインはアマチュア竜王戦
この作品のメインストーリーは苺が倒したい棋士に出会い下剋上を叩きつける所から始まります
でも将棋界というのはかなり閉鎖的な世界で対戦したいから出来るという簡単なものではありません
とにかく下から積み上げていくしかない世界なんです
当然年単位の日にちを要します・・・が、苺はそんなに悠長な性格ではありません(というかせっかち)
そこで滝沢を介し知ったのが「アマチュア竜王戦」です
地方大会から全国大会で優勝するとプロ棋士が参加する「竜王戦」への参加資格が得られますが、将棋における「プロ」と「アマ」は天と地以上の開きがあり偶然勝てる事はない厳しい力の世界です
神奈川県予選では元三段の強敵「浅井理久(あさい りく)」や現アマ王将位の「塚原大樹(つかはら だいき)」と激戦を繰り広げます
・・・でも勝っちゃうんですよね・・・
全国大会では同じ女性棋士の「鴨島凜々(かもじま りり)」、アマ名人の「谷悟志(たに さとし)」などに勝利し優勝を手にしますがその途中で現竜王の「山野辺彰人(やまのべ あきと)」や大会をこっそり見に来ていた大鷹風雅と対局しフルボッコにされます
これで伊鶴・山野辺・風雅がいつか殺す(将棋で)リストに入りました(笑)
■奨励会ルート解放
宮村はここまでハイスピードでステップアップしてきた苺を、「奨励会」に入れてきちんと地力を付けさせたいと思います
奨励会はプロを目指す人の「虎の穴」的場所で、ほんの一握りの人間しか入る事が許されない上に「師匠」がいなければいけません
そこで滝沢の師匠だった「古閑武人(こが たけひと)」七段に依頼しますが、結局苺は奨励会には入らずトーナメントを勝ち進む道を選択します
苺にとって命を懸ける勝負は出来るけど、将棋に人生を懸ける事は出来ないという考えからの選択でした
意外に冷静な子ですね
ここで苺以外の同年代、滝沢・凜々・月子・古賀の生徒で女性棋士の「水沢蒲公英(みずさわ たんぽぽ)」は奨励会入りを目指して試験に挑みます
地区予選で対戦した塚原も遅咲きながらプロを目指す決意をしてプロルートに入って行きます
■部活ルート解放
3年生になった苺は自動的(滝沢が卒業)に将棋部部長になります
で、苺が部活紹介で言い放ったのは「誰も入るな」(⁉)
竜王戦に勝つことが目標の苺は後輩の相手なんかしてられない!
それ以前に絶対この子コミュ障だよ(笑)
苺の願い虚しく3人の新入部員を迎えた将棋部は新しいスタートをきった
■更に変人揃いの竜王戦トーナメント
まずは将棋の実績・実力に照らし合わせて分けられた「ランキング戦」からスタート!
苺はもちろん最下位の「第6組」
全勝中のホープ「神崎明日人(かんざき あすと)」、プロ棋士の「高地秀斗(こうち ひでと)」などを倒して勝ち進むと遂に竜王戦決勝トーナメントに進出!
既に現実ではありえない展開になっています・・・
竜王戦のトーナメント表は格闘技漫画もビックリの上位優遇な超偏向システムになっています
・・・これは現実にあるんですよね??
一番下の5組と6組が1回戦で戦いあとは全て弱い順番にシード
苺が目的を達するにはとんでもないレベルの相手と何度も戦わなければいけません
1回戦は「マリオネット五段」
・・・・・・
・・・・・・誰⁉
その名前の理由は「自分達は将棋の神様の操り人形に過ぎないから」・・って、アホかぁぁぁぁ!!
しかし彼の師匠は将棋連盟会長の「守屋(もりや)」で当然弱い訳がない!
ここまでくると実力的には苺より上の対戦相手ばかりなので、どこかしら穴を突く戦法を見出さないといけません
2回戦は「道玄坂達哉(どうげんざか たつや)六段」
次の対局が翌週と時間が迫る苺は直接道玄坂が通うバッティングセンターに出向きバッティング&将棋対局を挑みます!!・・・・これはアリなのか??
実力は明らかに格上ながら苺の自信満々の発言にペースを乱され自滅・・・
3回戦は「宮下裂鬼(みやした ざき)九段」
その特徴は・・・鬼の面⁉いいのこれ??
奇抜な見た目ながら苺との実力差は歴然で初めて「勝てない」と思ってしまいます
そんな苺が取った手は「持久戦」
「持将棋(じしょうぎ)」と呼ばれる仕切り直しで、苺は長い時間をかけてあえて引き分けに持ちこもうとします
ただ再対局でも不利な状況に変わりはありませんでした
すでに12時間指している上での深夜にまで及ぶ激闘は確実に苺の体力を削っていました
再対局も耐え忍ぶ苺の狙いは本人も敵も周りも理解していました
「ミスを突く」
しかしそう簡単にミスする鬼ではなく、今度は「千日手」となり再々対局まで流れて行きます
4回戦は「海江田大河(かいえだ たいが)王座」
将棋界のトップに君臨するA級棋士にして物語序盤から重鎮として苺に立ちはだかる人物です
・・・と言っても悪いのはいちいちルール無視する苺ですが(笑)
お互い予測と読みを駆使し終始互角の展開ながらも棋士として晩年を迎える海江田と勢いのある苺との間に微妙な熱量の違いが・・
5回戦は「伊鶴航大八段」
遂に最初の目的だった伊鶴までたどり着きました
女子中学生とは思えない執念が怖すぎる(笑)
意気込みは高いがさすがに伊鶴との実力差は歴然
これは苺もお手上げでしおらしく負けを認め・・・る訳ありません
通常の王を取り合う方式ではなく「宣言法」と呼ばれる点数式の条件を満たす為に着々と準備していました・・・この周到さ、本当に中学生か?
準決勝は「斉藤蓮二冠」
若手ながらも風雅を倒して世代交代を息巻く新世代の代表
でもその私生活は未だ親と同居で部屋の片づけをしないと怒られお母さんに頭が上がらない普通の若者です(泣)
しかしながら現時点で苺が勝てる可能性は皆無!
三連戦の初戦を落とすと苺はひたすら斉藤の棋譜を研究し続けしつこい・・いや、しつこ過ぎてキモいくらいの対策を披露し斉藤のペースを乱す
更に斉藤が山野辺と戦った棋譜をなぞって煽り続けるメンタル中心の攻撃を披露・・怖い!怖すぎる!
決勝は現役最強「山野辺彰人竜王」
小手先の技が通じない相手との戦いを前に苺が師事したのはなんと・・・斉藤蓮(の実家突)
単純に将棋の才能を持つ苺が将棋と向き合いレベルアップしていくだけではなく、同年代でプロを目指す滝沢や蒲公英に刺激を受けたり、最初は嫌々面倒を見ていた下級生の試合を見守ったり時には仕返ししたり(⁉)人間としての成長が見られ最終的にそれが将棋に還元されているのが良いですね
何より世話係の宮村がメッチャ効いてますよね
振り回しながらも唯一逆らえない大事な存在になってます
本来目上の常識人である風雅や山野辺、守屋も苺が引くような変人気質があったするのもポイントです(笑)
海江田戦の辺りでは風雅達同年代の過去エピソードなんかも入ってキャラクターの深堀りや思い入れがより進んでしまいます
竜王戦と並行して普通の対局も多く行われたり、奨励会や三段リーグなどプロを目指して人生を賭ける棋士たちの生きざまを少しコミカルに表現したり我々の知らない将棋という世界をアマからプロまでかなり丁寧に描いていますね
ラスボス・山野辺との対局は7戦なので暫くはこれを中心に進むと思いますがこの後はあるのか気になります
どうしても経験や実力に劣る苺は奇策に走り勝ちですが、最後はビシッと負けて更に成長して欲しいですね(願望)
響同様テンポよくスパッと終わるのかそれとも苺の棋士としての成長を更に描いていくのか?
僕は前者な気がしますが・・・
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