さよなら私のクラマー 全14巻(新川直司)【あらすじ紹介&レビュー】

さよなら私のクラマー(1) スポーツ
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湖面をたゆたう漫画好き・ラッコです

このブログは漫画好きの私が好きな漫画家や漫画作品を中心にあらすじや登場キャラクターを通した作品の魅力を紹介していきます

完全なる独断と偏見と趣味性であることをご了承の上、閲覧してください


※ご注意
このコーナーは大なり小なりのネタバレを含みます
ご自身の判断で閲覧いただくようお願いします


今回紹介するのは高校女子サッカーをテーマにした作品さよなら私のクラマーです

作品概要は以下の通り

TheWorkData

【作品名】
 さよなら私のクラマー 
【作者】
新川直司
【巻数】
 全14巻 
【連載期間】
2016〜2021
【掲載誌】
月刊少年マガジン
【ジャンル】
女子サッカー

今回は全14巻なので1~5巻、6~10巻、11~14巻の3回に分けて紹介していきます

それでは行ってみましょう!

さよなら私のクラマー(その1)1~5巻

■新生ワラビーズ始動!

物語の舞台となるのは埼玉県蕨市にある公立高校「埼玉県立蕨青南高校」の女子サッカー部、通称「ワラビーズ」

どこにでもある普通の部活チームで強さは「弱小校」レベルです

しかしこのチームは今大きな問題を抱えていました

それは・・監督のやる気が全くない!(チーン)

顧問の「深津(ふかつ)」は競馬雑誌片手にベンチに座り試合でも練習でも指示は一切なし・・愛想を尽かした3年生は総出で退部してしまいます



そこに入学して来たのが3人の将来有望(?)な1年生

1人は「周防すみれ(すおう すみれ)」

スピードが特徴のストライカーですが、チームと自分の性格(ぼっちで陰湿)に恵まれず中学では目立った活躍を残せませんでした

そんな彼女に共感した全国大会3位のボランチ「曽志崎緑(そしざき みどり)」は高校で彼女と頂点を目指そうとしますが、なぜか入ったのは弱小のワラビーズ・・

最後の1人は超高校級のテクニックを持つMF「恩田希(おんだ のぞみ)」

中学に女子サッカー部がなく男子に交じって磨かれたテクニックで同中の「越前佐和(えちぜん さわ)」(マネージャー志望)と高校女子サッカーに挑みます



更に「オフサイドラインで生まれた女」を自称するチームスポーツ無視のお嬢様FW「白鳥綾(しらとり あや・1年)」、辞めて行った3年に代わりチームをまとめる部長「田勢恵梨子(たせ えりこ・2年)」を中心に新生ワラビーズが産声を上げます



そこに蕨青南高校OGで元女子日本代表のエース「能見奈緒子(のうみ なおこ)」がコーチとして加わります

17歳でA代表、アジア最優秀選手、ブンデスリーガ優勝、15年現役のレジェンド・・と華々しい経歴ですが教え下手で美的センスゼロとちゃんと欠点もあります(笑)

元来負けず嫌いな性格でワラビーズにも厳しい練習を課し、深津にも毎回当たり散らしますが彼女はもうひとつ大きな武器を持っていました

それは・・・コネです!(バーン)


■vs久乃木学園

もと教え子の立場を活かして能見が練習試合を取り付けて来たのは日本女子サッカー日本一の「久乃木学園高校」

全国最高レベルのポゼッションサッカーにワラビーズは通用するのか⁉

いやするわけないし!!!!!

能見の師匠であり「泣かない赤鬼」の異名を持つ監督「鷲巣兼六(わしず けんろく)」がチームに課したノルマは「10-0」

元U15主将でキャプテンの「梶みずき(かじ みずき)」、曽志崎と同じ世代別代表のSBで女子版ロベカル「佃真央(つくだ まお)」、そして1年生ながら名門の10番を背負うファンタジスタ「井藤春名(いとう はるな)」を前にワラビーズは圧倒され続けます

いきなり立ち上げたばかりのチームが強豪との戦いで打ちのめされるって展開はスポーツあるあるですよね

それでも「0-21」は酷過ぎますが・・・(チーン)

ただ曽志崎-周防のホットラインや恩田のテクニックでちょびっとだけ爪痕を残します

■inフットサル

そして次にワラビーズに立ちはだかったのは美的センスゼロの能見が全部費をぶっこんで作った「痛ユニ」問題でした

「一富士二鷹三茄子」を盛り込んだデザインで背番号は漢数字(⁉)という現実問題使えないユニフォームを作り直す金策に加え、男子サッカー部に練習場を剥奪される不運まで降りかかってきます

金策問題は曽志崎・周防・恩田のトリオが久乃木の佃・井藤を仲間に引き込みスポーツショップ主催のフットサル大会の賞金5万を狙います

しかし対戦相手に佃・井藤と同じ中学でフィジカルモンスターの「九谷怜(くたに れい)」が立ちはだかり一触即発のムードになります・・

練習場問題ではキャプテンの田勢と2年の「宮坂真琴(みやさか まこと)」「岸歩(きし あゆむ)」「御徒町紀子(おかちまち のりこ)」が男子サッカー部顧問で筋肉しか興味がない筋トレマニア「飛鳥永建(あすか えいけん)」のゴシップを見つけ交渉材料にしようとしますが・・・果たして⁉

■国体予選~vs浦和邦成

そしてようやく始まる「全国高等学校総合体育大会 埼玉県予選」

痛ユニから2年の「菊池類(きくち るい)」の手でイングランド風デザインになった

ユニフォームに身を包みワラビーズの公式戦が始まります



しか~し・・初の公式戦が楽しみ過ぎて一睡も出来なかった恩田だけはピッチの「お地蔵」として足を引っ張ります

それでも新生ワラビーズは予選リーグを突破しますが、決勝トーナメント1回戦の相手は埼玉予選を8年連続優勝の強豪「浦和邦成高校」

昨年予選は全試合クリーンシートで「カテナチオ」の異名を持つ圧倒的守備力とそれをまとめる女版ダービッツこと「桐島千花(きりしま ちか)」

桐島は曽志崎と同じ中学の先輩でコンビを組んでおり、浦和進学を裏切った形になっている曽志崎は超バツが悪いのです(汗)



3-4-3をベースに両サイドが圧倒的な運動量を見せて試合を圧倒する浦和の攻めを何とか凌ぐワラビーズという展開が続きます

頼みの曽志崎-周防ラインによる速攻も桐島が広大なスペースをカバーして阻止されてしまいます

0-0のまま後半に入ると珍しく深津にアドバイスをもらった恩田が息を吹き返します

雨でぬかるむグラウンドで見せた「リフティング・ドリブル」は往年のスター「ドラガン・ストイコビッチ」を彷彿とさせるものでした

それでも固い浦和ディフェンスをこじ開けようと攻めるワラビーズでしたが、そこまで沈黙を守っていたFW「安達太良アリス(あだたら ありす)」によって状況は一変します

長身、貞子と見まがう長髪、女子キャラとは思えない簡素な顔面、そしてアニメ「胸きゅん開国(きゅんこく)」をこよなく愛するメンタリティー・・どれを取っても超コワイ!!!(ガクブル)

しかも身長を活かしたポストプレイヤータイプかと思いきやその持ち味は「スピード」

同じく前線を張るロリ風超毒舌FW「天馬夕(てんま ゆう)」「フェルソ・ヌエベ(偽9番)」としてスペースを誘導しワラビーズDF陣は翻弄されます

いや!瓦解します!(チーン)

■JFKBインターカップ

健闘むなしく国体で敗退したワラビーズは能見のコネで関東近郊の高校を対象としたリーグ戦「JFKBインターカップ」に参加します

そりゃあ万年予選敗退の高校が出られる大会ではないですからね(笑)



この大会には久乃木と高校女子サッカーで双璧をなす「興蓮館高校」が参加しています

そしてワラビーズにもちょっとした変化がありました

まずマネージャーだった越前がプレイヤーとして参加します

運動能力はあまりありませんが、戦術オタクでサッカーには詳しい彼女の加入はどんな意味をもたらすのか?

指導でも能見が攻撃、守備を深津が見る分業体制が確立します

深津はイヤイヤですが・・・

まだ6月なのに慌ただしいまま6巻へと続きます!

さよなら私のクラマー(その2)6~10巻

JFKBインターカップに向けて戦術を整理したワラビーズ

その選択は「ポジションサッカー」でした

ある程度ポジションを固定する事でバランスが崩れないように出来て個人の役割もハッキリします

特にハマったのは白鳥の「つぶれ役」でした(笑)

でも大事ですからね

■深津の過去

ワラビーズの練習に現れた謎の男を捕縛すると、その正体が元日本代表の「高萩数央(たかはぎ かずお・通称カツオ)」だと判明します

スペイン、ポルトガルでもプレーした代表の左ウインガー何と深津の先輩⁉

更に彼の口から驚愕の事実が語られます

深津はU18・U23代表のエースでしたが、足の大ケガを機に現役を引退します

元々指導者に興味を持っていた深津はJFLでキャリアをスタートさせましたが、戦術よりも厄介な現状に固執して新しい物を受け入れない選手達に苦しみます

その挫折から未だ立ち直れない事がサッカーにネガティブな原因だったんですね

深津はワラビーズでサッカーへの情熱を取り戻せるのでしょうか?

■vs栄泉船橋

準決勝に躍進したワラビーズは千葉の栄泉船橋高校と対戦します

この高校、関東大会では久乃木を撃破しています・・マヂ⁉

しかも指導出来る監督がおらず部長の「浦川茜(うらかわ あかね)」が戦術を落とし込んでいました

一見不便な状況ですが、戦術マニアの浦川によって構築されたチームは元プロの深津、能見が舌を巻く程完成されたチームでした



4-4-2をベースに8枚の守備ブロックとFWのプレッシング・・・って結局10人で守備をする超ディフェンシブなチームをこじ開けられず苦戦するワラビーズ

プレスからのショートカウンターを愚直に高いインテンシティで継続する「平均ポゼッション率29%」のチーム・・とにかく固ったい!!!

パスコースのない状況を動かしたのはDF宮坂のロングパスでした



広大なスペースが使えるようになったワラビーズは立て続けに得点し流れを引き寄せますが、それを強引に戻したのは栄泉船橋のFW「国府妙(こくぶ たえ)」でした

ツインテールのギャルキャラに隠された彼女の本質は「ハンター」

なりを潜めていた「守備0点攻撃120点の選手」はワラビーズDF陣を翻弄し7分で2得点を決めます



ロースコアゲームかと思いきや後半は戦術と得点が飛び交います

妙1人にキリキリマイな状態を打開する為に切った深津のカードはなんと「越前」

深津はこないだまでマネージャーだった越前のある特性を見抜いていました



それは「狩りとる者」

1対1で相手ボールを奪う能力とそれに必要な身体能力がなにげ高く越前は妙と互角の勝負を繰り広げます

しかしそれを上回る妙の攻撃センスで勝ち越しを許すと、今度は恩田をアンカーに下げて越前とのWチームを組ませます

これにより低い位置で前を向けるようになった恩田は本来持っている攻撃センスを発揮しやすくなりますが、栄泉船橋も4-1-4-1に切り替え浦川が危険なポイントをカバーして対抗・・・本当に高校生同士の試合??



拮抗した中盤を制したのは恩田&曽志崎コンビでした

カウンターから2得点で逆転するとダークホースながら決勝へと駒を進めます

でも浦川の守備へのこだわりと選手の特性を活かそうとする姿勢、そして垣間見えた深津の情熱が素晴らしい戦いを彩りました

■vs興蓮館

弱小ワラビーズが関東の強豪を押しのけ決勝に進出!

対するは全国2位の興蓮館高校で監督は・・・カツオ⁉



興蓮館は久乃木の梶に対抗意識を燃やす絶対的エース「来栖未加(くるす みか)」を擁しインターハイを制した後で主力は温存の筈が蓋を開けてみると前線の「遠藤夏目(えんどう なつめ)」「小山田早苗(おやまだ さなえ)」、更には1年ながらCBの久谷まで出場してきます



さてカツオ率いる興蓮館はどんなサッカーをするのか?

基本ポゼッションサッカーですが攻撃は3-4-3、守備は4-3-3で対応するハイブリッドフットボール・・・要するにポゼッションもカウンターもできるマルチなチームです

そんなハイブリッドなチーム相手ではさすがのワラビーズも・・あれ?戦えてる?



その理由は明白でした

なんせワラビーズはポゼッションに極振りした「久乃木」、ディフェンスに極振りした「栄泉船橋」と戦っています

どっちも頂点を経験済なんですよね



だからって興蓮館が弱いわけではありません

カツオと興蓮館サッカーを作りながらも事故で膝を怪我してしまったエース藤江宇海(ふじえ うみ)」「天才」と太鼓判を押す妹「梅芽(うめ)」が動き出します

偽SBが中央寄りのポジションを取る戦術「アラバロール」にワラビーズは大混乱!

梅芽を警戒しケアした曽志崎が立て続けのイエローで退場すると一気に3失点!!

恩田のスーペルゴラッソで1点を返すも1-3で前半終了

これに怒ったのはなんと深津でした



深津はワラビーズに勝つ為の戦術を授けます

後半DF4+MF3で守備ブロックを築くと攻撃は左右の周防と白鳥を入れ替え推進力アップを図ります

守りの信頼を一身に受けた周防はぶっちぎりのスピードを発揮し得点をもぎ取りますが、これで興蓮館に火が付きます

清楚な見た目から大和撫子を自称している来栖が、本来のプレースタイルである泥臭さでボールに食らいついていきます

勝ちに貪欲な「凡人」で構成された強豪校が本気で牙をむいてきました・・コワッ!

カツオが標榜する日本人の特性を活かした「ジャパンオリジナル」を体現する興蓮館の壁をワラビーズは打ち破れるのか⁉

良い所でその3に続きます!

さよなら私のクラマー(その3)11~14巻

女王の女王たる所以、それは貪欲に勝利を求める姿勢でした

王者のスタイルを貫く興蓮館はエース来栖の活躍で点差を「5-2」にまで広げます

さぞ意気消沈・・かと思ったら恩田は4点取る気満々です(笑)



その恩田を活かす為に宮坂が提案したのは「ラインを上げる」でした

それにより恩田が前に行きやすくなりましたが、試合終盤に来てのハードワークはワラビーズにも諸刃の剣でした

しかし曽志崎の退場以降中盤に降りていた田勢の存在でチームバランスは安定し、善戦で戦う恩田、周防、白鳥が躍動します



越前をカウンター対策で投入しGKまで使った積極的守備は田勢のゴールで実を結びます

更に勢いに乗る恩田は白鳥に絶妙のスルーパスを出してゴールをお膳立てすると、終了間際のカウンターでも興蓮館DFを翻弄します

口は悪いがクレバーな遠藤がペナルティエリア内で決定機を阻止して退場しますが、ワラビーズにPKを決めきる力は残っていませんでした

■夏合宿

スタンドで観戦していた久乃木や栄泉船橋にまで火をつけたワラビーズの奮闘は終わりをつげますが、8月に入り高等学校女子サッカー選手権埼玉予選が迫って来ます

ここで動いたのは何と深津(⁉)

短期で戦術を浸透させるために合宿を行います

場所は「周蒼寺」・・・周防の実家です(⁉)

インターカップでワラビーズが走れるチームだと確信した深津が授けた戦術はユルゲン・クロップの代名詞「ゲーゲンプレッシング」

相手ボールになった瞬間にプレスをかける「カウンターへのカウンター」です



そんな高等戦術が簡単に実践できる訳はないのですが、ワラビーズの士気はかなり高く深津を納得させるものでした

もうひとつ大事なのが選手層のアップです

これは1年生で戦術理解に長けた「朝日奈珠(あさひな たま)」やフィード力抜群のGK「宇都宮星羅(うつのみや せいら)」が世代交代に名乗りを上げます



予選リーグを突破したワラビーズは勢いそのままに決勝トーナメントも駆け上がり4校総当たりの決勝リーグへと駒を進めます

その中には当然埼玉最強の浦和邦成の名もありました

でもそれよりワラビーズを驚かせたのは対戦相手の見る目が変わった事で、もう弱小扱いはしてもらえずガッチリ引いて守るチームまで出てきます

ワラビーズ包囲網に臆することなく2勝を上げ関東大会の切符を手にすると残るのは浦和邦成との埼玉最強決定戦のみ!



そして!

ここで!

「俺たちの戦いはこれからだー!!」エンドです

えええええええええぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!!!!!

と思いますがこの作品は単純な勝ち負けではなく女子サッカーに懸ける情熱を描く事がテーマなのでこれはこれで良かったのかも知れません

正直言えば勝ち負けを超えた戦術論などサッカー漫画として盛り上がる要素は沢山あったので全国大会決勝で久乃木と戦い世界に羽ばたいてほしかったのですが、それは想像の中で我慢しなければいけませんね

すでに新川先生は新作「アトワイトゲーム」を連載しているので作品の成功を祈りつつも恩田達が大人になった続編も見たいな~って思ったりします

女子サッカーというテーマだけでなくプレイヤーやコーチなど様々な視点でサッカーを捉えた素晴らしい作品でした

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