【クラシック】第5回 坂口いく「闇狩人」を読む!

闇狩人01 バトル・アクション
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こんにちは
湖面をたゆたう漫画好きLuckoです

このブログではいい年した漫画好き(汗)のボクが、これまでの漫画遍歴で好きだった漫画や作家さんの作品を中心にあらすじやキャラクターを簡単に紹介しつつレビューしていきます

完全に個人の独断と偏見ですのでその辺はご容赦ください

あとネタバレも含みますので注意してくださいね

今回ご紹介するのは坂口いく「闇狩人です

この作品は今はなき月刊少年ジャンプで連載されていました
そこまで大きな人気は出ませんでしたが(失礼)、闇に紛れて悪を討つダークヒーロー的要素と暗殺の道具が「マンガの道具」という奇抜さに惚れました(笑)
ちょっと画力が追い付いていなかったのが残念ですが、それを引き継いで続編なんかも出ているので頑張って欲しい所です

作品概要

【作品名】
 闇狩人 
【作者】
坂口いく
【連載期間】
 1987〜1990 
【巻数】
全6巻
【掲載誌】
月刊少年ジャンプ
【ジャンル】
サスペンス・バトル

作品紹介

基本的にストーリーの根幹となるのは「人間ドラマ」です
主人公の「間武士(はざま たけし)」漫画家を夢見る傍らで副業として社会悪を討つ暗殺集団「闇狩人」をしています
まぁその設定もどうかと思うのですが(笑)、闇狩人のターゲットはあくまで「社会悪」なんです
端的に言えば現代版(連載当時)「必殺仕事人」って所ですね



唯一の問題は間の漫画は殺し屋の1億分の1も才能を感じさせない事ですね
いくら社会悪とはいえ人を殺した金で生活したり家賃払ったりしている時点で十分クレイジーですがそこは置いておきましょう!



間が武器にするのは先にも述べた通り「マンガの道具」です
極限まで角を鋭利にした大型定規で切りつけ、丸ペンが仕込まれたペン軸を相手に投げつけます
夢の詰まった道具で人を殺すのもクレイジー・・もう言い出したらキリがありません(笑)

そんな後ろ暗い活動を続ける武士ですが、普段はボロアパートで芽の出ない漫画を描き続けています
大家の娘「美崎ユキエ(みさき ゆきえ)」は地元では有名な元スケバンですがなぜか小動物の様に大人しい武士に好意を抱いており、身の回りの世話をしてくれます
殺しの間には高校生同士の甘い(?)恋愛も楽しめたりします
この漫画オムニバスストーリーな分異様にレギュラーキャラクターが少ないんですよね

ストーリー序盤は妻の手術代を闇金から借りた教師、人気アイドルと闇狩人マネージャーとの師弟対決、学習塾の闇、暴走族の権力争い、殺人狂空手家、美人姉妹を苦しめる地上げ屋など多種多様な社会悪が登場します
・・・というかただの「悪」です!
その後も悪者のテンプレ・悪徳国会議員を懲らしめたり、裏ビジネスに手を染めた大学生の末路、漫画家の夢を追って死んだ息子と父の悲しいすれ違い、ジムの借金をカタに不利な試合に挑むボクサーなど幸少なめのストーリーが続きます
挙句には高校球児の仕返しに利用されたりして「闇狩人」のブランドに疑問が出そうな案件も多々ありましたがそれは見ない事にしておきましょう・・・



基本的に単独行動の闇狩人ですが時には地場の闇狩人と協力する場合もあります
結果的に地場の方は殺されるのが鉄板なのが可哀想ですが・・
その中でも無事生き残って協力関係を築けた人物もいます



まず「我竜京介(がりゅう きょうすけ)」
ビシッとスーツで決めた長髪イケメン「ケン玉使い」です!!
・・・・・武器がダサい・・ガンちゃんか?
と言っても当然普通のケン玉ではありません
糸は自由自在に伸縮し人を吊っても切れない頑丈さ!
多分先っちょが飛んだり電気が流れたりしますよ(ウソ)
この頃カッコよく見えてた自分の眼球を疑いますね(笑)
彼とは将棋の駒を模した暗殺組織との戦いで共闘します
香車(十寸クギ)・桂馬(ブーメラン型ナイフ)・金&銀(双子・鉤爪)・角(伸縮型の槍)・飛車(三節棍)・王将(刀)
・・・見事バラバラ(笑)謎の組織でした



次は刑部村という山村からやって来た男「陣内力(じんない ちから)」
武器は鬼神流空手という古武術を使った肉弾戦
この時点ではあくまで村の復讐に燃える一般人でしたが、京都で起こった薬物事件をきっかけに闇狩人に転職します
その武器は「濡れタオル」!!何でも絡め取れて汗も拭ける万能武器です(笑)



最後は人気ギタリストの「三枝将(さえぐさ しょう)」
武器は勿論ギターのピックです!投げて良し!指の間に挟んで接近戦に使って良し!の鋼鉄製です
しかも「僕芸能人です」と言わんばかりの真っ白いスーツでお仕事します
「ギターで食えるようになって休んでたけど、芸能界の恨みつらみで復活」ってアルバイト感覚だな(汗)
間&陣内と日本進出を目論む中国マフィアとの戦いでその実力を発揮します



数々の社会悪を闇に葬って来た間と他3名が最後の敵に選んだ(選ばれた)のは「皇静馬(すめらぎ しずま)」
大財閥皇コンツェルンの社長で傭兵経験のある猛者です
彼は東京湾の空港建設に関係して運輸大臣と黒い関係にありました
大臣すら手玉に取る知略と反対派の集会にジャンボ機を落す残忍さを併せ持つ男で、間・陣内・三枝に声を掛けボディガードにしようとします
さすがに闇狩人の矜持とはかけ離れた要求には応えられませんよね
よって皇が率いる大軍団と総力戦になります
もうちょっとパワーバランス考えて戦って欲しいですよね(笑)



結果的に陣内が命を落としてしまいますがそれ以外は概ねハッピーエンドで物語は終了します
なぜ間が闇狩人になったのかとか疑問点はまだ残っていますし、設定的にはかなり雑な部分も多々ありましたが「月刊少年ジャンプ」という媒体を考えれば設定より雰囲気で読ませる方が大事なのかも知れません



これにて・・・・と言いたいですが、闇狩人は外伝が2本あるので引き続き読んで行こうと思います



坂口いく短編集ALBUM3「闇狩人 家族の肖像」を読む!

この作品は読切で前作の後日談になります
間も二浪の末ユキエと同じ大学に入学し、漫画も佳作に入る真っ当な(?)人生を歩んでいました
でもまだユキエとはキスもままならないプラトニックな関係っぽいんですが・・
これまで散々人殺しをしてきたから、頭ごなしに隷属させられる姉さん女房に新しい性癖が触発されるんですかね(笑)



舞台はそのユキエが盲腸で入院している病院で起こります
院長の「真壁和馬(まかべ かずま)」は母を脳死で失った際、命の重さに疑問を持ちその辺の価値観をこじらせたまま医者になった男でした
その挙句本人も闇狩人として活動した上に不法労働者の臓器を患者に与えて救う間違った方向に舵を切り続けていました
結果、闇狩人から狙われる身となりますがなにせ本人が「元闇狩人」の上凄腕ボディガードも雇っているので誰も殺すことが出来ません

そんな時、間が偶然出会った不法労働者の女性が真壁のターゲットとなった為闇狩人を引退していた間の報復劇に巻き込まれます・・・
事の善悪はあるといえ真壁の信念ってそんなに悪い方向ではなかった気がするんですが・・間に関わったのが運の尽きでしたね



「闇狩人 蛍」
ここまでの本筋とは離れて新しい闇狩人「工藤大介(くどう だいすけ)」が登場します
工藤は釣り竿を使い標的を殺す闇狩人です
・・・これも罰ゲームっぽいアイテムだな(笑)



彼が偶然出会った少女「あゆみ」の彼氏がヤクザと関わっていた事で悲劇が起こってしまいます
・・自業自得な気がしないでもないですが・・・
ともかく涙に濡れる少女を放っておけない工藤の釣り竿がうなりを上げヤクザを次々につるし上げる・・・って話です
以上!!

ちなみに本作は1991~1993に発表されたものですが・・・微妙に下手になってる気が・・(気のせいと思おう!)

「闇狩人異伝 Dの軌跡」を読む!

本編から5年後の連載となり画力も・・・・うん・・・
残念ながら今回間は出て来ません
彼は闇狩人を引退し立派な漫画家になっている・・・はずです



今回の主人公は高校生の「飛高大悟(ひだか だいご)」です
物語は3部構成となっており第1は大悟が新しい闇狩人になるまでのストーリーとなっています
この仕事免許が要らない上にバイト感覚でなれるのが良い所です(笑)



立花技研会長「立花藤次郎(たちばな とうじろう)」は自身の夢である「D型バイク」と呼ばれるレーシングバイクの完成に人生と予算を投入していました
しかし肝心のD型バイクはテストで不測の事故を起こしてばかり・・
それもそのはず、ライダースーツを開発していた「浦沢(うらさわ)」がライバル企業の「永田工業」にヘッドハンティングされ兵器転用のテストとして故意に事故を起こしていたのです
こいつ悪いやつですね~



このスーパーバイクに見合うライダーを夜な夜な探していた立花は夜の高速で命知らずのスピードで飛ばす謎のライダーを発見します
これが大悟なんですね
彼はとある事をきっかけに感情を失い死を恐れない(と言うか死んでもいい)人格になっていました
そこに降って湧いた命スレスレのテストライダー依頼
二つ返事で引き受けた大悟でしたがこれが闇への第一歩でした
ナット不良で大悟が事故を起こし医務室にある間に事件は起こります
浦沢が立花に退職届を出そうとするとポケットから件のナットがポロリ・・・



(立花)・・・・・・
(浦沢)・・・・(しまった)

そんな訳あるかあああぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!
どんなコントやねん!!



かくして浦沢の悪事を知った立花は殺されてしまい、彼の意志を継いでD型バイクを引き継いだ大悟が闇狩人として浦沢を粛清します
かなり雑な(ザルな?)設定ですがここから闇狩人・大悟の物語が始まります



第2部はヒロインの登場です
彼女の名は「桂木詞乃(かつらぎ しの)」
そしていきなり恋人をリンチで殺されます(チーン)
殺した男は「永田(ながた)」・・・・ん?永田?
そう!彼は1部で出て来た永田工業の御曹司で金の力で何でも出来ると思っているスーパーボンボンです



彼氏を失った詞乃は自殺を図りそこで大悟と出会います
そこで彼に乗り換え・・・ではないのですが詞乃も心が死んでいる大悟に興味を持ちます
幼馴染の波多から大悟は小五の時ハイキングで両親が死亡したと聞かされます
死因は・・・「ありえない大岩が落ちて来た」です
・・・・・ありえない(笑)
それ以来心が死んでしまった大悟でしたが運命が彼を放っておきません
復讐の為、闇狩人を探す詞乃が永田に囚われ波多が殺されると、再びD型バイクに乗った闇狩人の発動です
チンピラ程度の戦闘力を持つ永田をあっさり葬るとなぜか詞乃にロックオンされてしまいます(ガクブル)



最終章の3部では息子を殺された永田(親)が大悟に復讐を仕掛けてきます
大悟が世話になっているバイク屋の主人や詞乃の友人で大悟に興味があった「シイちゃん」がサクッと殺されてしまい詞乃まで攫われてしまいます
敵の本拠地の乗り込み死線を彷徨った大悟が最後に生きる気力を取り戻してハッピーエンド!!
・・・・・・・
・・・・・・・人死に過ぎじゃね??
残酷を通り越して使い捨て感が半端ないですよね
あまりにすんなり死んでしまってやるせなさも感じないくらいです



3部の途中で京介が登場してストーリーの安心感は増しますが、結局救われない命が多すぎてこれでいいのかなと思ってしまいます?
作者的にはいいんでしょうね
ともかくこれで闇狩人は終章となり近年坂口先生原作で後継作となる闇狩人Δが連載されています
かなり絵柄が違いますがこっちの方が読みやすいです(失礼)



(注)漫画家の「小山田いく」とは別人です(Wikipediaより)
・・・そりゃそうだろ!!
最近はメジャー活動されていないのかわかりませんが、今後とも坂口先生の作品を待ちたいですね
これにて「闇狩人」読了です!!



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